レンズ 2015 11 29
書名 本音のデジタルカメラ選び
著者 田中 希美男 洋泉社MOOK
日本では、11月は、紅葉のシーズンでした。
駅で見かけた様子を書きましょう。
大型の一眼レフカメラを持った60代の男性。
小型のミラーレスカメラを持った20代の女性。
どちらが写真の上級者か。
実は、20代の女性です。
写真の上級者か初級者かを見分けるには、
カメラ本体についているレンズを見ればわかります。
20代の女性は、カメラに望遠レンズをつけていて、
60代の男性は、標準レンズ(ズーム機能付き)でした。
電車の行き先を考えると、
おそらく60代の男性も20代の女性も高原で紅葉の写真を撮るのでしょう。
そうすると、レンズの選択は、望遠レンズになるでしょう。
風景を撮るならば広角レンズではありません。
風景を撮るならば、むしろ望遠レンズを使う必要があります。
広角レンズでは、あまりにも広範囲に写ります。
だから、学校の美術の授業で学んだと思いますが、
構図が重要になります。
つまり、広角レンズでは、構図を考えて、
近景には何を入れるか、
中景には何を配置するか、
遠景は、どうするかを考える必要があります。
一方、望遠レンズには、「切り取る」という機能があります。
つまり、景色の中から自分が気に入った部分だけ、
切り取って写真に収めることができるのです。
これは新聞記事の切り抜きを考えばわかるでしょう。
新聞の全部を保管していても(広角レンズ)、
後になってみれば、いったい何の記事が気に入って新聞を保管したのかわからなくなります。
一方、興味を持った記事を切り抜いておくと(望遠レンズ)、
後になっても、「この記事が気に入ったのだ」とわかります。
さて、昔に比べて、
今の日本人は、一眼レフカメラを持たなくなりました。
それは、スマートフォンで写真を撮るようになったからでしょう。
しかし、スマートフォンの写真機能には問題があります。
スマートフォンのレンズは、広角レンズです。
そういうわけで、上記のように「構図」を考える必要があります。
つまり、広角レンズでは、「構図」作りを要求されます。
しかし、スマートフォンを使う人は、写真の初心者です。
つまり、ミスマッチがあります。
もちろん、望遠レンズにも短所があります。
標準レンズだけならば、一眼レフカメラも比較的コンパクトになりますが、
望遠レンズを装着すると、さすがに大きくなり、重くなります。
ところで、政府からは、企業に対して、
「設備投資が少ない。賃上げがない」という声が聞こえてきます。
しかしながら、企業としては、
「商品が売れる」という自信がなければ、
なかなか設備投資も賃上げもできないものです。
日本の工業製品は、新興国に追いつかれつつありますが、
カメラやレンズの技術は、圧倒的に強みがあります。
首相や大臣が自ら写真家になって、
日本のカメラやレンズの技術を普及させるべきです。
昔は、多くの家庭に一眼レフカメラがありました。
日本人は、写真好きで、観光に出かけるときは、
一眼レフカメラを持って行ったのです。